施工事例・コラム

【構造別×種類別】ビル解体費用の相場は?坪単価や費用を安くする方法も紹介

  • ビルの解体費用相場は?
  • ビルの解体費用を安くする方法は?

この記事では上記のようにビルの解体費用について詳しく解説していきます。

ビルの解体費用に関して疑問を持っている方は必見です。

ビルの解体費用について!費用が決まる要因も紹介

【構造別×種類別】で見るビル解体にかかる費用相場

実際にビル解体にかかる費用を【構造別×種類別】にそれぞれ見ていきます。

解体費用は、坪単価をもとに算出されます。坪単価は、「本体の解体工事費」+「廃材処分費」で決まります。

解体工事にかかる全国の坪単価の相場は以下の通りです。

木造3万~3.5万
軽量鉄骨造3万~4万
重量鉄骨造4万~5万
鉄筋コンクリート造3.5万~8万
鉄骨鉄筋コンクリート造4万~9万

解体にかかる費用は「坪単価」×「床面積」で計算するのが一般的です。

例として、40坪のビルにかかる解体工事費を簡単にシミュレーションしました。

3階建て4階建て5階建て10階建て
木造360万~420万480万~560万600万~700万1200万~1400万
軽量鉄骨造360万~480万
重量鉄骨造480万~600万640万~800万800万~1000万1600万~2000万
鉄骨コンクリート造420万~960万560万~1280万700万~1600万1400万~3200万
鉄骨鉄筋コンクリート造480万~1080万640万~1440万800万~1800万1600万~3600万

※軽量鉄骨造は3階以上の建物に使用されることがほとんどありません。

解体費用は立地や時期など様々な要因で価格が変動する為、専門業者での正確な見積をおすすめします。

また、総額は上記の基本費用に「付帯工事費」などが加わるため、注意が必要です。

ビルの解体費用が決まる要因

 ビルの解体費用が決まる要因は主に7つあります

  • ①既設のビルの構造
  • ②解体する建物の大きさ・規模
  • ③周辺の道路の広さや隣接する建物までの距離などの立地や施工条件
  • ④アスベスト除去工事の有無
  • ⑤鉄筋やコンクリートなどの廃棄物の処理
  • ⑥解体方法
  • ⑦付帯工事の有無

①既設のビル構造

解体予定のビルの構造は、解体費用を大きく左右します。というのも、建物が堅牢であればあるほど工事の難易度が高まるからです。

既設のビル構造は大きく3種類に分かれます。

  • 鉄骨造(S造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

下にいくにつれて堅牢度が高まるため、解体費用もUPします。

ビルの構造は、解体方法や廃材の量に関わる最もスタンダードな項目であるため、押さえておきましょう。

②解体する建物の大きさ・規模

構造と併せて解体費用を大きく左右するのがビルの規模です。各階の建物面積(延べ床面積)は「坪」で表されます。

ビル本体を解体する際の大まかな支出は【構造×建物面積】を基準に計算されるため、規模が大きければ大きいほど費用がUPします。

※【構造別×種類別】ビル解体にかかる費用相場 はこちら

③周辺の道路の広さ・隣接する建物までの距離などの立地や施工条件

ビルの周辺環境も解体コストの増減に影響を与えます。工事を行う際の安全対策をより厳重にする必要があるからです。代表的な基準に以下の2つが挙げられます。

  • ビル前の道路幅が4m以上であるか
  • 隣接する建物と1m以上離れているか

これらは、事前に業者へ確認することが必要となります。

※工事車両の進入のしやすさなども含まれます

安全対策に関する費用についてはこちら

④アスベスト除去作業の有無

建物にアスベストが使われている場合、別途費用がかかります。

アスベストとは、昭和頃に建築材として使用された人体に有害な物質です。築年数の経った建物に使用されているケースが多く、特別な除去作業が必要となります。

以下のようにアスベストの調査は義務付けられています。

 建築物や工作物の解体、改造、補修作業を伴う建設工事(解体等工事)を行う元請業者(又は自主施工者)は、あらかじめ特定建築材料の使用の有無を調査し、発注者へ書面により説明することが義務付けられています。

引用元:石綿(アスベスト)に関する法令等-茨城県

アスベストに関しては解体業者が調査をしてくれますので、自身で確認する必要はありません。

しかし、処理費用の相場は数百万単位であり、解体作業自体に大きな影響を及ぼします。

 解体予定のビルが該当した場合、自治体によっては補助金が出る可能性があるため問い合わせてみましょう。

これは、国土交通省が公開しているアスベスト除去費用の目安です。

アスベスト処理面積除去費用
300㎡以下2.0万円/㎡~8.5万円/㎡
300㎡~1,000㎡1.5万円/㎡~4.5万円/㎡
1000㎡以上1.0万円/㎡~3.0万円/㎡

参考:アスベスト対策Q&A‐国土交通省

⑤鉄筋やコンクリートなどの廃棄物の処理

解体工事で発生した廃材の処理にも費用がかかります。

これらすべて産業廃棄物として処分されます。地域毎に産業廃棄物の処分費用は異なり、都市部であればあるほど高額です。

特に、鉄筋コンクリート造の場合は埋め込まれている鉄筋の数が把握しにくいため、解体後に高額な請求を受けるケースがあります。

施工前の正確な見積りをおすすめします。

⑥ビルの解体方法

解体費用で忘れてはならないのが使用される工具費用です。

大きく分けて以下の2つが挙げられます

  • 施工に必要な工具(使用する重機を含む)
  • 作業員の人数

解体工事の費用では、人件費と重機のレンタル代も大きな割合を占めています。

この2項目は、解体方法から算出されます。

解体方法とは主に、手壊し解体(人力解体)と重機を使用する解体の2つです。

一般的には、手壊し解体の方が割高になるケースが多いです。理由として、動員される作業員や所要期間が関係しています。

解体方法はビルの構造や周辺状況によって判断されるため、計画時に業者との食い違いを招くことがないよう十分な話し合いが必要です。

⑦付帯工事の有無

解体の際に、ビル本体以外の撤去工事が発生するかについても費用が決まる要因になっています。

主に以下のような付帯工事が発生する可能性があります

  • ブロック塀の撤去
  • 倉庫の撤去
  • 地下倉庫などの地中埋設物の撤去
  • 樹林の伐採
  • 地盤改良工事
  • ライフラインの解体

ビル解体は、住宅と比べて付帯工事にかかる費用が大きくなることが多いです。

しかし、ライフライン等は事前に撤去することで、費用を削減することができます。

施工前に必要な手続きを確認し、工事費用をできるだけ抑えましょう。

ビル解体をする前に必要な「手続き」「申請」「書類」

  • ①近隣住民への挨拶をする
  • ②ライフラインの停止をする
  • ③建物内の不用品や残置物を処分する
  • ④建築リサイクル法の申請をする
  • ⑤道路使用許可申請をする

①近隣住民への挨拶をする

解体工事は近隣住民に迷惑をかける恐れがあるため、事前の告知・挨拶周りを行いましょう。

工事中の騒音や振動はトラブルの原因となり、作業が中断する可能性があります。

挨拶は、ポスティング・手土産の持参にて工事の日程や周辺への影響を説明することが一般的です。

計画に沿った工事のため、周囲からの心証を意識しましょう。

②ライフラインの停止をする

施工をスムーズに進めるため、事前にライフラインの供給停止と設備撤去が必要です。

ライフラインとは、以下のような生活の基となっているインフラを指します。

  • 電気
  • ガス
  • 水道
  • 電話回線
  • インターネット通信

これらはそれぞれの担当会社に連絡する必要があり、工事の開始前に停止することが求められます。

これらの工事の際、解体業者にガス管や電線の撤去をすべて委託すると、別途費用がかかってしまうため注意しましょう。

※ガス会社などに連絡する際、「解体工事のための撤去」であることを正確に伝える必要があります。単なる「供給停止」では、ガス管が撤去されない等のトラブルを招く恐れがあります。詳しくはこちら

③建物内の不用品や残置物を処分する

建物の解体時に発生した廃棄物は解体業者によって処理されますが、建物内の「残置物」は別で処分する必要があります。

「残置物」とは、前の入居者が処分せずに残していった設備や家具を指します。これらは主に4つに分けられます。

  • 日用品(燃えるゴミ・燃えないゴミ・資源ごみ)
  • 家電(照明器具・エアコン・冷蔵庫など)
  • パソコン(PC・液晶ディスプレイなど)
  • 粗大ごみ(作業机・棚・ソファベッドなど)

これらの処分を解体業者に任せてしまうと、全てのごみが産業廃棄物として扱われます。結果、より高額な請求が発生してしまうのです。

不用品や残置物の処分はできるだけ施主自身で行いましょう。

※日用品はしっかりと分別を行った上で、一般廃棄物としてゴミに出すことができます。

※家電・パソコンは廃品回収やリサイクルの業者へ依頼が可能です。

※粗大ごみは自治体によって数百円〜数千円での引き取りがあります。

※木材・金属・プラスチックは解体業者に格安で回収してもらえる可能性があります。

④建築リサイクル法の申請をする

工事を行う際は、扱う資材に応じてリサイクルに関する義務が発生します。

それが建築リサイクル法です。

建築リサイクル法は、特定建設資材の廃材を資源ごとに分別し、再資源化することを義務付ける法律です。特定建設資材にはアスファルト・コンクリート・木材が含まれています。施主は以下の事前準備が必要です。

  • 対象工事の1週間前までに都道府県へ届出
  • 分別解体の費用等を書面で確認
  • 施主と施工主との契約手続きの整備
  • その他変更の届出等

参照元:建設リサイクル法‐国土交通省

施主が届出をしない等、建築リサイクル法の義務を怠った場合、以下のような罰則が適用されます。

内容罰則(円)
分別解体等対象建設工事の届出20万
同変更の届出20万

参照元:建設リサイクル法に違反した場合の罰則‐茨城県

ついうっかり届出を忘れてしまうだけで20万の罰金が課せられてしまうため、事前の準備は慎重に行いましょう。

※建築リサイクル法のよくある質問等は

建設リサイクル法Q&A(国土交通省のホームページ)

をご覧ください。

⑤道路使用許可申請をする

解体工事が現場の敷地内で完結せず、公道を利用する場合にのみ特別な申請が必要になります。

簡単に言えば、トラックなど重機のスペースを確保するためのものです。

それが道路使用許可申請です。

道路交通許可制度

道路交通法により、本来の用途に即さず交通の妨害等を生じさせるような公道の使用は禁止されているが、一定の条件を備えていれば警察署長の許可によって行うことができる。

引用元:道路使用許可の概要、申請手続等‐警察庁

申請を受けた警察は、実施時間・地形・地域住民の合意形成など様々な調査を行います。

許可が降りるまでには時間がかかるため、十分な時間的余裕をもって事前相談をすることでより円滑に解体工事を進めることができます。

申請に必要な書類は以下が挙げられます。

  • 道路使用許可申請書(2通)

道路使用許可申請書(別記様式第六) (100KB)

  • 道路使用許可申請書の添付書類

道路使用の場所又は区間の付近の見取図

道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類

※解体工事の規模によっては道路占用許可も必要となる場合があります。

ビルの解体費用を安く抑えるポイント

  • ①不用品や残置物は自分たちで処分する
  • ②中間マージンを取る仲介会社経由で解体業者に依頼しない
  • ③補助金や助成金を活用する
  • ④閑散期に解体してもらう
  • ⑤見積もり〜現地調査まで丁寧な業者に依頼する
  • ⑥解体するビルの図面を用意する

①不用品や残置物は自分たちで処分する

不用品や残置物の処分を施主自身で行うことで廃棄にかかる費用を減らすことができます。

  • 日用品(燃えるゴミ・燃えないゴミ・資源ごみ)
  • 家電(照明器具・エアコン・冷蔵庫など)
  • パソコン(PC・液晶ディスプレイなど)
  • 粗大ごみ(作業机・棚・ソファベッドなど)

※日用品はしっかりと分別を行った上で、一般廃棄物としてゴミに出すことができます。

※家電・パソコンは廃品回収やリサイクルの業者へ依頼が可能です。

※粗大ごみは自治体によって数百円〜数千円での引き取りがあります。

②中間マージンを取る仲介会社経由で解体業者に依頼しない

施工コストを抑えるには、解体業者に直接依頼することが重要です。

そもそも中間マージンとは、業者の仲介手数料を指します。工事に関係する下請け業者が多ければ多いほど、中間マージンは大きくなります。

現在、解体工事の依頼が可能な業者は以下が挙げられます。

  • 解体業者
  • 建設会社・ハウスメーカー
  • 建設事務所
  • 工務店

ところが、解体を専門とする解体業者以外は下請けの会社を介することが多く、仲介手数料が高額なものになりやすいのです。

そのため、信用のある解体工事業者に直接依頼することで、相場から離れた高額な請求を回避することができます。

③補助金や助成金を活用する

解体工事において、建物の状態等から自治体の補助を受けることができる可能性があります。

補助制度を活用することで解体工事費や仮設工事費を減らすことができます。

ここでは茨城県の自治体が設けている事例を紹介します。

市/茨城県補助項目金額(円)
水戸市ブロック塀の撤去費用20万(上限)
筑西市工事費・廃材の処分費30万(上限)
龍ヶ崎市工事費・廃材の処分費50万(上限)

※令和5年10月時点のデータを基に作成しています。

※金額は、補助金の限度額です。

引用元:リフォーム・住宅補助制度‐水戸市 

筑西市空家等解体支援補助金について‐筑西市

 龍ケ崎市老朽空家等解体費等補助金について‐龍ヶ崎市

補助金は各自治体が設けている条件を満たしている場合に適用されます。

  • 衛生上の問題や倒壊の危険がある建物の解体であること
  • 解体費用が一定額以上であること
  • 老朽化などにより街の景観が損なわれる建物であること
  • 自治体の税金を滞納していないこと

適応される条件や金額は自治体毎によって異なるため、事前準備の際に確認してみましょう。

④閑散期に解体してもらう

解体費用を抑えるなら、閑散期に依頼することが重要です。特に、繁盛期は工事にかかる費用が高額になるため避ける必要があります。

繁盛期:11月~3月

閑散期:4月~9月

閑散期を見計らうには、余裕をもった解体計画を立てることを意識しましょう。

⑤見積もり〜現地調査まで丁寧な業者に依頼する

解体をスムーズに行うために、依頼主に寄り添った見積りと丁寧な現地調査を行う業者に依頼しましょう。

なかには、解体工事の許可を取らずに依頼を引き受けてしまう業者もいます。

工事を依頼する業者は慎重に選ぶ必要があります。 ーはこちら

⑥解体するビルの図面を用意する

また、見積りの際にビルの図面を用意することで、解体費用を節約することができます。

見積りの際により正確な情報を伝えることができれば、動員数や重機、工事期間を縮小することが可能です。

解体工事費用で占める割合が大きいのは人件費であるため、結果的に大幅な費用削減に繋がります。

費用を安く抑えるため、見積りをする前にビルの図面を準備しておきましょう。