施工事例・コラム

鉄骨造建物の撤去費用について:種類別と建物別の解析

鉄骨造は耐震性や建築コストの面で多くの利点を提供しますが、解体時の費用は異なる要因によって大きく変動することがあります。このページでは、鉄骨造の種類、鉄筋コンクリート造との違い、そして解体費用の相場について詳しく解説し、お得に解体を行うコツも提供します。


鉄骨造の種類とその特徴

鉄骨造は、建物の骨組みに鉄骨を用いた構造の建造物を指します。この方式は木造建築に比べて強固であり、大規模なビルやマンション、アパートの建築によく利用されるだけでなく、一戸建てや工場、倉庫などにも適用されています。鉄骨造は主に使用される鋼材の厚さによって、軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類に分類されます。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、鋼材の厚さが6mm未満で構築される建物を指します。このタイプの建造物は3階建て以下の住宅や倉庫などに適しています。

軽量鉄骨造の特徴としては、工場で事前に製造された部材を現場に運んで組み立てる方式が一般的であり、この方法によって短期間で安定した品質の建物を建てることができます。さらに、重量鉄骨造に比べて建築費用を抑えることが可能です。

重量鉄骨造

一方、重量鉄骨造は、鋼材の厚さが6mm以上で構築される建物を指します。重量鉄骨造は、鋼材が厚いために軽量鉄骨造よりも強度が高く、3階建て以上の住宅、マンション、工場などの大きな建物に用いられることが多いです。

重量鉄骨造の建物は、建物の重さを柱と梁で支える構造を持っています。重量鉄骨は軽量鉄骨に比べて柱や梁が太いため、建物を構成する鉄骨の本数が少なく、空間を大きく取ることが可能となります。これにより、大きな窓や広い空間、吹き抜けを作るなど、間取りの自由度を高めることができます。

鉄筋コンクリート造との違い

鉄筋コンクリート造と鉄骨造は、それぞれの構造材料と建築方法において異なる特徴を持っています。以下に、それらの主な違いを概説します。

材料と構造

  • 鉄筋コンクリート造: 鉄筋コンクリート造は、柱や梁などの主要構造部材がコンクリートと鉄筋で構成されています。建築時には鉄筋で型枠を組み、その中にコンクリートを流し込み固める方法が採用されます。
  • 鉄骨造: 一方、鉄骨造は、建物の骨組みに鉄骨を使用する構造で、柱や梁などが鋼材で作られています。この構造は、軽量かつ強固なフレームを提供し、工期の短縮やコスト削減に寄与します。

耐震性・耐久性

  • 鉄筋コンクリート造: 鉄筋コンクリート造は、その頑丈な構造によって高い耐震性と耐久性を提供します。この特性により、中規模のマンションや商業ビルなど、多階建ての建物においてよく利用されます。
  • 鉄骨造: 鉄骨造も良好な耐震性を持っていますが、鉄筋コンクリート造に比べると耐久性においては劣る場合があります。しかし、鉄骨造の建物は修復が比較的容易であり、耐震補強も施しやすいとされています。

防音性

  • 鉄筋コンクリート造: コンクリートの質量が大きいため、鉄筋コンクリート造は高い防音性を提供します。これにより、騒音の悩みが多い都市部においては鉄筋コンクリート造の建物が好まれることがあります。
  • 鉄骨造: 鉄骨造は鉄筋コンクリート造に比べて防音性に劣る可能性があります。しかし、防音材を使用することで、十分な防音性を確保することも可能です。

これらの違いを理解することで、各建築方式がどのような状況や用途に適しているのか、明確に把握することができます。

鉄骨造の解体費用相場

解体のコストは建物の構造タイプによって異なり、鉄骨造の建物もその例外ではありません。以下に、各鉄骨造の種類による解体費用の相場を示しますが、これはあくまで目安であり、実際の費用は立地条件、廃棄物処理のコスト、解体作業の難易度など多くの要因によって影響を受けることを理解してください。

1. 軽量鉄骨造の場合

軽量鉄骨造の建物の解体は、相対的に低コストで行うことが可能です。解体費用の相場は、1坪あたり約2万5000円から4万円程度とされています。たとえば、30坪の住宅を解体する場合、費用は80万円から120万円程度になることが予想されます。ただし、外壁材としてALC板(へーベル板)が使用されている場合は、解体費用が割高になる可能性があります。

2. 重量鉄骨造の場合

重量鉄骨造の建物は、軽量鉄骨造よりも頑丈な構造をしているため、解体費用は高くなります。相場は1坪あたり3万円から4万5000円程度とされています。30坪の建物を解体する場合には、費用は90万円から140万円程度が必要とされます。外壁材にALC板を用いている場合も、解体費用はさらに高くなる傾向があります。

3. 鉄筋コンクリート造の場合

鉄筋コンクリート造は、鉄骨造に比べてさらに頑丈な構造を持っているため、解体費用は最も高くなります。相場は1坪あたり3万5000円から8万円程度とされています。30坪の建物の解体には、約100万円から240万円程度の費用がかかると考えられます。

これらの価格は、解体作業を行う地域や業者、さらには建物の状態によって異なる可能性があるため、具体的な費用は複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

建物別鉄骨造の解体費用相場

建物の解体費用はその構造や床面積(坪数)、そして立地条件などによって大きく変動します。以下に、建物の種類別に鉄骨造の解体費用の相場について説明します。これらの価格はあくまで目安であり、具体的な費用は複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

1. 1階建ての鉄骨造の場合

1階建ての鉄骨造建物の解体費用は基本的に建物の構造と床面積によって変動します。例えば、坪あたりの解体費用が2万5000円と仮定した場合、15坪の1階建て鉄骨造建物の解体費用は約37万5000円となります。ただし、この費用にはブロック塀の撤去やその他の廃棄物の処理費用は含まれていないため、実際の総費用は約60万円程度になるケースもあります。

2. 2階建ての鉄骨造の場合

2階建ての鉄骨造建物においては、床面積が36坪で、坪あたりの解体費用が3万円弱と仮定すると、建物本体の解体費用は約94万円となります。しかし、重機の使用料や庭木の撤去費用などが追加されるため、総費用は約150万円程度になるケースもあります。

3. 3階建ての鉄骨造の場合

3階建ての鉄骨造建物で、床面積が133坪の場合、坪あたりの解体費用が2万円と仮定すると、建物の解体費用は約280万円となります。さらに、防塵シートや防音シートの設置、現場管理費などが加算され、総費用は約370万円程度になるケースもあります。大きく頑丈な建物は解体に手間がかかるため、費用も大きくなります。

4. 車庫の鉄骨造の場合

車庫の解体費用は、その種類や構造によって大きく変動します。鉄骨造の車庫の場合、坪あたりの解体費用の目安は2万円から3万円程度とされています。例えば、13坪の鉄骨造車庫の解体には、本体の解体費用や廃材の処分費、コンクリート土間の解体などを合わせて約31万円程度が必要とされるケースもあります。


鉄骨造の解体費用を安くするコツ

解体工事はコストがかかるものですが、いくつかの方法を利用することで費用を抑えることが可能です。以下に、鉄骨造の解体費用を安くするための3つのコツを紹介します。

1. 自分で片付けられるものは処分しておく

解体工事を始める前に、自分で片付けられるものは処分しておくことで、解体業者が作業を行いやすくなり、作業時間が短縮される可能性があります。これにより、作業費用を削減することができるでしょう。また、不要な家具や設備、廃材などを自分で処分することで、廃棄物処理の費用も節約することが可能です。

2. 複数社から見積もりをしてもらう

解体工事の費用は業者によって大きく異なる場合があります。より良い条件で工事を依頼するためには、複数の解体業者から見積もりを取得し、比較検討することが重要です。見積もりを比較する際には、単に費用だけでなく、作業内容やサービス、安全対策、過去の実績なども考慮に入れると良いでしょう。

3. 補助金を利用する

地方自治体や国から提供されている建物解体に関する補助金や助成金を利用することで、解体費用を大幅に削減することが可能です。補助金や助成金の申請資格や内容は地域や時期によって異なるため、事前に関係機関に問い合わせて情報を確認し、必要な申請手続きを行うことが重要です。

これらのコツを利用することで、鉄骨造の建物の解体費用を抑えつつ、安全かつ効率的に解体工事を進めることができるでしょう。